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僕らの世代が30代に
20代最後の日記。

「僕らの世代」なんて言葉にそれほど意味は無いのかもしれないけど、そして自分の世代だけ特別だと思っている訳ではないけど、自分の世代について。

これまでを振り返ってみて、個人的には楽しい事も大変な事もあったけど、社会的には暗いニュースの方が多かったような印象があります。

バブル景気の華やかな雰囲気は小学校低学年の頃の記憶として何となく覚えてるけど、その後バブル崩壊があり、環境問題やゴミ問題などがクローズアップされるにつれて、この国は(あるいは地球は)悪い方向に進んでるのかなぁという印象を漠然と抱いた記憶があります。

中学生の頃に阪神大震災があった。そして地下鉄サリン事件。高い学歴を持つ理系の人が、非科学的な宗教にのめり込んで、人殺しの薬品をつくってしまうという事件は、昔から理科が好きだった自分にとってはすごく受け止め難い事件でした。

高校に入った頃、サカキバラ事件(神戸の児童連続殺傷事件)があり、高校2年の17歳の頃、バスジャック事件を始め「キレる17歳」が世間で騒がれてました。当時の同級生の間では「親から『あなたは(同じ17歳だけど)こんな事件起こさないでね』って言われた」なんて話もよく聞かれました。

一浪して大学に入った2001年に同時多発テロが発生。テレビの中継を見ながらその夜は眠れなかった記憶があります。

その後もいろいろあったけど、印象に残っているのは10代から20代はじめにかけての(多少暗い)出来事。ただ、実際には自分たちの身に何か深刻な被害があった訳ではないし、平和な中でここまで過ごして来れたのは客観的に見て幸せだと思っています。

そう思いつつも、僕らの世代(ってくくりかたをして良いかは分からないけど)は、世の中に対して、自分の周りの世界という物に対して、ぼんやりとマイナスのイメージをもって成長してきたんじゃないかと思っています。僕がそう思っているだけかもしれないけど。あるいは、このようなマイナスイメージはもしかしたら僕らの年代よりも下の世代の人たちは共通に持っているのかもしれないけど。


そんな僕らが30代に。

就職した友人達は会社の中でも中堅となり、僕も遅ればせながら社会人となり、大学で20代前半の学生達を相手に物理を教えている。
今の子ども達、学生達も、度重なる暗い事件の報道の中で育ってきたのだと思うし、現に東北では今回の大震災で大きな被害を受けた人もいる。

そんな状況の中で、これから自分に何ができるか?自分は何をすべきか?
ぱっと答えが出てくる訳じゃないけど、下の世代に向けて何かポジティブなメッセージを発信し続ける事が必要なんじゃないかなと思います。
といっても、たいした事ができる訳じゃないけど。例えば、これまでやってきた子ども会関係のアウトリーチを続ける事と、(今の職がある限りは)大学で学生達に熱意を持って教える事とか。

暗いニュースが多かった学生時代を過ごしながらも、自分が「研究者を目指そう」なんて思ったのは、身の回りに自分を励ましてくれる仲間や先輩や先生がいたから。これは冗談抜きでホントの話。
だからこそ、30代になったら良い意味で下の世代を意識して、彼らに対して恥ずかしくない生き方をしながら、前向きな姿勢を持って行くべきなんだろうと。

理想通りに行かないかも知れないけど(たぶん行かないとおもうけど)、理想は高く持たないとね(笑)。

それでは、

20代終了。

30代スタート。
by nt-neutron | 2011-06-30 23:28 | 日記 | Comments(0)
日記
今日の研究

再計算する事になったスピン波励起の話。新しいハミルトニアンで、再度実験結果とよく一致するパラメーターセットを見つけつつある。スペクトル強度のq依存性を見ているとq=0の一点でsingularになってしまう問題があったけど、よくよく中身を見てみると複素行列の対角化ルーチンの所で、行列要素がすべて実数で入力されると不具合がある事を発見。修正。割と軌道に乗ってきた。

来週には久々に分極測定の実験。卒研生もモチベーション高く、実験に飢えてる感じで楽しくなりそう。僕も楽しみだ。


今日のアウトリーチ?

世田谷のこども会の指導員/事務局の人が訪ねてきて、こどもたちと『電気』について楽しく学ぶ会を開くという事で内容の相談に来た。とりあえず僕の方からできる事ととして、黒板を使ってのミニ講義と、電池、磁石、導線を使っての簡単な実験をしてみた。ファラデーモーターは割と受けが良い。しかし電気って(当たり前だけど)すごく奥が深い。こどもと一緒に学ぶのにはいろいろ工夫が必要だな。大学生でも教えるのに苦労する訳だし(^_^; まぁ僕自身もまだまだ未熟者なので、まだまだ勉強しないと。
by nt-neutron | 2011-06-23 01:00 | 日記 | Comments(0)
教え方の哲学
メモとして。

東大(&RIKEN)の十倉先生の科学講演会「創・省エネルギーに向けて物理学が実現する夢」(YouTube)

理研の講演会でのお話で、話の本題である創・省エネルギーに向けて物理学(特に固体物性)がどのように貢献するかという点も非常に分かりやすくて興味深いのですが、気になったのは、17:30からのあたり。

「『固体中では電子は完全に波として伝わる』これをブロッホの定理と言いますが、これを3年生の最初に一生懸命教える」

「ところが、教科書から外れるという事が必ずありまして、4年生の後期から大学院の前半にかけては(中略)電子をいっぱい詰め込んで、電子と電子が反発すると(中略)電子でもって電子が止まってしまう。電子が粒子として振る舞う。そうゆうのをモット状態と言います」

という点。実際に自分が3年生に固体物理を(学生実験の授業の中で)教えていると、何をどの順番に教えるのか?悩んでしまうのですが、上で述べられていたように、「まずこれを教えて、次はこれ」という順序がきっちり意識されていると、学生にもしっかり伝わるんだろうなぁと思います。

すごく単純な事のようだけど、実際自分が教えているとついつい話が脱線して、トリビア的な雑学知識の集合体を教えているようになりがち。教え方にも哲学を持たないとね。まだまだ未熟だけど、少しずつ教え方も進歩させていきたいな。
by nt-neutron | 2011-06-17 02:10 | 研究日誌 | Comments(0)
2軸圧論文Online
記録として。

去年の卒業研究で卒研生達と取り組んだ2軸圧論文がPRB(rapid)に掲載。

  • Control of ferroelectric polarization via uniaxial pressure in the spin-lattice-coupled multiferroic CuFe1-xGaxO2
  • T. Nakajima et al.
  • Phys. Rev. B. 83 220101R (2011)

以前も書きましたが、この実験は共著者となっている4人の卒研生が精力的に実験に取り組んでくれたおかげで形にする事ができました。これから先の進路でもきっと活躍してくる事と思います。N君、I君、TH君、YH君、これからもがんばって!僕も負けないようにがんばります。
by nt-neutron | 2011-06-17 01:46 | 研究日誌 | Comments(0)
緊急プロポーザル
日本の大型研究施設が震災でダメージを受けたため、本来そこでやる予定だった実験ができなくなった事の代替措置として、海外の施設が特別枠をもうけて実験の申請を受け付けてくれています。

この手の申請募集は先月くらいからあったのだけど、なかなかこちらの希望とマッチする装置がなく、ほとんど見送っていましたが、ここに来て希望とぴったりの装置がproposalの募集を開始したとのお知らせが来ました。

とりあえず日本の担当者に希望を伝えたのが今週月曜。その後、英文でproposalを至急書いて送って下さいとの連絡が来たのが水曜。水曜は学生実験の授業でずっと動けず、木曜はセミナーが二つあり、昨日日記に書いた先輩からの新実験データの話もあり動けず、今日になってプロポーザルを書き始めました。そして締め切りは今日の夕方5時。(^_^;

「やばいー、やばいー」と口に出してつぶやきながらwordでproposalを書く。今回は特殊なケースなのでプロポーザルの様式も決まっておらず、それがまたなんともやりにくい(^_^;また、文章的に練っている時間もないので思いついた事から順番に(できるだけインパクトあるように)書く事にしました。

こうゆうときってwordの英文添削機能は助かるなぁと実感。スペルミスだけでなく、文法ミスも指摘してくれるのでありがたい。

図はkeynoteの上にPDFを切って貼ってまとめたものをpngで書き出してwordに貼る方式。しかしなぜかkeynoteではスペルチェックが働いておらず、図中に書き込んだ英語にミスが。。。提出した後で気づいてしまいました。がっかり。

かなりがんばったので採択されて実験ができるようになると良いな。まぁでも、見直す暇もなく書きなぐったからひどい英文だろうなぁ。(-"-; あまり期待せずに待つ事にします。それよりも今はスピン波の立て直しが急務か。
by nt-neutron | 2011-06-10 23:58 | 研究日誌 | Comments(0)
一歩後退
今日はセミナー二つ。学科の院生セミナーの方は中心に関わっているので、盛り上がるかどうか、人が集まるかどうか毎回気になってます。

今回は前回よりすこし人数が少なめだったけど、セミナーの司会(座長)をM1の学生が引き受けてくれて、たくさん質問をして盛り上げてくれた。質問がぽんぽん出るのが普通という雰囲気を保っていくのは大事だと思う。その意味ではとても良い座長でした。慣れない中がんばってくれたF君に拍手。

二つ目は工学部の先生のセミナー。
その前に共同研究者のT先輩からメール&電話。最近僕らが見つけた(と思っていた)ある現象についての新展開を教えてもらう。どうやら最新のX線回折実験によると、僕らが見ていた現象は間違いだったかもしれないという事に。

今まで重要だと思っていた実験結果が実は間違いだったかもしれないという事で、研究計画は大きく修正する必要が出てきた。特に6月中に論文にしたいと思っていたスピン波の研究は完全に考え直す必要が出てきてしまいました。3月、4月に進めてきた、中性子の実験と理論式を比較するためのシミュレーション計算は完全に没。これは痛い。

計算するにあたって自分たちが立てたHamiltonianも修正を迫られる事になり、これも大誤算。
これまでに形となっていた図や数値はかなりの部分失われる事になったけど、基本的な「考え方」はまだ生き残っているような気がするので、ここからが勝負所かな。

困難に直面してからが研究の一番面白い所。
一歩後退したけど、目線は前を向いたままで行くべし。自分への伝言として。
by nt-neutron | 2011-06-09 23:50 | 研究日誌 | Comments(0)
6月スタート
6月スタート。

今月の目標はなんと言ってもスピン波論文を書く事。
この論文の内容を、7月初旬に申し込んだ研究会(まだ返事が来ないな)で話したいと思っているので、そのときには論文がすでに形になっている状態がベスト。投稿まで行くのは無理かもしれないけど、共著者と議論する段階までは持っていきたいな。

M1君が最近解析の腕を上げてきて、過去のデータに対してかなり精度のいい再解析を作ってきた。うん、これで放射光実験のプロポーザルが書けるかな。楽しみが一つ増えた感じ。

卒研生の1グループが眠っていた交流帯磁率の装置を再起動し始めている。この装置、僕が4年の頃は活躍していて、LockInAmpや発振器などを組み合わせた手作り感あふれる感じが個人的に好きだったのだけど、最近は使われずにいました。研究室に入った頃はLIAが「ピポ!ピポ!」という音を出して動作している様子を眺めるのが楽しかったなぁ。今の4年生達には、この帯磁率測定装置群にオプションをつけて、新しい測定ができるようにしてよみがえらせてもらうつもり。こちらもうまく行くと良いな。まぁはじめは試行錯誤だと思うけど。

試料作りも卒研生が主体的に始めているみたいでいい感じ。研究室の雰囲気が研究モードになってきた。
by nt-neutron | 2011-06-03 23:35 | 研究日誌 | Comments(0)
IRSN report
IRSN(フランス放射線防護原子力安全研究所)によるレポート

福島第一原発周辺の警戒区域(20km)「以外」において今後予想される外部被曝量が見積もられている。
ISRN自体が行った見積もりの他に、米国による見積もり、日本の文科省による見積もりなども比較して分析されている。どのデータを見てもやはり原発から北西にのびるラインの地域の汚染はかなり深刻な事が伺える。

20ページの記述。

Heavily contaminated territories located outside the initial evacuation zone of 20 km around the Fukushima plant were 8.5% in surface of those in Chernobyl (874 km2 compared to 10,300 km2) and the order of magnitude of the affected population size would be 26% of that of Chernobyl (69,400 compared to 270,000).

現在の福島で『警戒区域の20km圏「外」で汚染が深刻な領域』というのは、『チェルノブイリでの立入禁止区域「外」で同程度汚染された区域』と比べてかなり少ない(8.5%)との事。かなりややこしい表現で、汚染された面積という意味では福島はチェルノブイリよりもだいぶ規模が小さい事が分かるけど、警戒区域外でも汚染が深刻な領域がゼロでない事はしっかり理解する必要があると思う。楽観視はできない。(また、この中で「the initial evacuation zone of 20 km around the Fukushima plant」と述べられているのは文字通り原発から半径20kmの区域で、現在ではそこ以外の北西部の地域でも計画的避難区域が設定されている。reportの最後で言及されている。)

最後のConclusion部分では「These dose levels do not take into account other exposure pathways」「The total effective doses (external + internal) could be increased considerably according to the type of deposit (dry or wet), diet and source of food.」とも述べられている。
まさにその通りでこれからの内部被曝は心配な所なので、これから食品の安全をどう保障していく体制を作っていくかという問題について、国にはそのしっかりとした枠組みを作ってもらいたいと思っている。僕らもそれを注意深く見ていかなくてはならない。
by nt-neutron | 2011-06-01 00:48 | 日記 | Comments(0)


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某私大で助教を4年間勤めたあと、現在はR研でポスドク。専門は磁性・中性子散乱。
by nt-neutron
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