昔の物理学会誌を整理していたら、2009年の鉄系超伝導特集の記事があった。著者はこの鉄系超伝導の第一人者である東工大の細野先生(と3人の共著者の方)。面白かったのでつい読みふけってしまい。scan snapで読み込んでiPadにも入れてみた。
鉄系超伝導フィーバーが始まったのは2008年2月のLaFeAsOFの報告からだけど、その1年半後の2009年後半の物理学会誌に膨大なReference(156あった)のついた解説が載るというのは改めてすごいスピードだなあ。
そのスピード感がにじみ出ている文章を一部抜粋すると、
2008年2月にLaFeAsO1-xFxがTc=26Kのバルク超伝導体であることを発表すると,中国の4つの研究グループをはじめ,米国やドイツの研究者が素早く反応した.その結果,プレプリントサーバ上に連日多くの原稿がアップロードされ、6月には鉄系超伝導の関係だけで1日に17報というCond-mat史上最多記録を生む事態となった.もはやCond-matは「超伝導2ちゃんねる」というアングラ的存在から,正規の"超速報誌"と見なして毎日これをチェックして頭に入れていかないと研究の進展からから落伍してしまう状況になった.
という感じ。すごい。(^^;
つい2、3年前だから、博士課程の学生として、リアルタイムでこの超伝導フィーバーを端から見ていたけど、学会とかの雰囲気もやはりすごかった。
他にも興味深いところはたくさんあったのだけど、最後の「著者紹介」の所に書いてあった細野先生の文が素敵だったのでメモ。
専門は無機材料科学,電子スピン共鳴.原石から磨いて宝石にするような材料研究を目指している.
「原石から磨いて宝石に」って言葉に物質科学への愛情みたいなものが感じられて、なんかすごく心に残りました。忘れないように書き留めておこう。